2018年シーズンおつかれさまでした!!!!(まだな方もいらっしゃる?)
この記事はロードバイク Advent Calendar 2018 - Adventarの12/4の担当記事になります!
平成最後の夏は戦後最も長く暑い、記録的な猛暑の年でありました。
※猛暑日:1日の最高気温が35℃以上の日のこと
かつて猛暑日に無防備で奥多摩を目指し、フラフラになりすぎて逃げ帰った苦い経験をバネに、小細工をあれこれ弄しながら夏場を乗り切ってきました。
中でも最強は走らないことです。
クーラーの効いた部屋で愛猫を愛でつつ、アイスコーヒーでも飲みましょう。
-完-
とできればいいのですが、イベント出走が決まっていて避けられないこともあります。
そんな日も…
あるんですね…!!
2018BRM721水上温泉では平均36.0℃、最高45.0℃を記録した。(Wahoo ELEMNT BOLTによる)
2018年はどれくらい暑かった?
災害と言われるほどだった2018年はどのくらい暑かったのでしょうか?
- 平均気温は東日本で最も高く、西日本は2番目(1946年の統計開始以降)
- 日本最高気温更新(熊谷。最高気温記念日を前にしてのことでした)
- 各地で最高気温更新(気象官署153地点のうち48地点)
- 都内で初の40℃超え(青梅)
- 初めて8月下旬で40℃超え(新潟)
- 美濃で3日連続40℃超え
- 観測史上初、同年2度の41℃以上を記録
- 「災害級の暑さ」が2018年流行語大賞に←NEW!! 「現代用語の基礎知識」選 ユーキャン 新語・流行語大賞
また各年の平年比を見ても2018年は暑かったということが分かります。
特に1994年、2010年、2013年が暑かったようです。
夏期(6、7、8月)の各年の平年比 年 北日本 東日本 西日本 沖縄・奄美 1951 +0.4 -0.8 -1.3 -1.2 1952 -0.2 -0.8 -1.0 -0.5 1953 -0.9 -1.0 -0.5 +0.1 1954 -2.2 -1.8 -1.4 -0.2 1955 +1.2 +0.4 -0.1 -0.8 1956 -1.6 -0.9 -0.5 +0.3 1957 -0.9 -1.0 -1.1 -0.4 1958 -0.4 -0.6 -0.3 -0.8 1959 -0.5 -0.6 -0.4 -0.4 1960 +0.0 -0.3 -0.1 -0.5 1961 +0.9 +0.4 +0.4 0.0 1962 0.0 -0.4 -0.7 -0.2 1963 -0.2 -0.2 -0.2 -0.4 1964 -0.6 0.0 0.0 -0.8 1965 -0.8 -0.6 -0.7 -0.7 1966 -1.0 -0.8 -0.5 -0.7 1967 +0.3 +0.2 +0.2 -0.2 1968 -0.2 -0.8 -1.1 -0.8 1969 -0.7 -0.9 -0.8 -0.8 1970 0.0 -0.8 -0.9 -0.3 1971 -0.8 -0.4 -0.2 +0.4 1972 +0.4 -0.5 -0.8 -0.6 1973 +0.4 -0.1 -0.1 -1.0 1974 -0.6 -0.9 -1.1 -0.9 1975 +0.1 -0.4 -0.4 -0.7 1976 -1.1 -1.4 -1.2 -0.9 1977 -0.4 -0.7 -0.5 -0.1 1978 +1.9 +1.1 +0.6 -0.6 1979 +0.1 +0.1 -0.2 -0.4 1980 -1.2 -1.1 -1.2 +0.4 1981 -0.8 -0.6 -0.2 -0.5 1982 -0.4 -1.5 -1.4 -0.8 1983 -1.8 -0.9 -0.4 0.0 1984 +1.3 +0.5 +0.4 -0.1 1985 +0.3 -0.1 -0.1 -0.8 1986 -1.1 -0.9 -0.5 -0.2 1987 -0.2 +0.2 -0.3 -0.2 1988 -0.7 -0.9 -0.6 +0.4 1989 -0.1 -0.9 -0.9 -0.2 1990 +1.0 +0.8 +0.9 +0.1 1991 -0.4 -0.9 -1.0 -0.2 1992 +0.2 +0.1 0.0 +0.8 1993 -1.9 -1.8 -1.5 +0.3 1994 +1.3 +1.3 +1.1 +0.1 1995 -0.1 +0.1 0.0 -0.2 1996 -0.7 -0.1 +0.1 +0.2 1997 -0.2 +0.1 -0.1 -0.7 1998 -0.7 0.0 +0.5 +0.7 1999 +1.5 +0.4 -0.3 -0.1 2000 +1.3 +0.7 +0.4 -0.3 2001 -0.1 +0.8 +0.6 +0.7 2002 -0.5 +0.6 +0.4 0.0 2003 -1.3 -0.9 -0.6 +0.4 2004 +0.9 +1.0 +0.9 -0.1 2005 +0.7 +0.5 +0.6 0.0 2006 +0.4 +0.1 +0.5 +0.2 2007 +0.6 +0.1 +0.2 +0.4 2008 -0.1 +0.2 +0.3 +0.4 2009 -0.4 -0.2 -0.1 +0.2 2010 +2.2 +1.5 +0.8 +0.1 2011 +1.0 +0.9 +0.5 +0.3 2012 +0.7 +0.6 +0.4 +0.1 2013 +1.0 +1.1 +1.2 +0.7 2014 +1.2 +0.5 -0.3 +0.3 2015 +0.6 +0.3 -0.5 +0.6 2016 +0.7 +0.6 +0.7 +1.1 2017 +0.3 +0.6 +0.7 +0.7 2018 +0.6 +1.7 +1.1 0.0
引用元:猛暑#夏期(6、7、8月)の各年の平年比 - Wikipedia
平年比から鑑みるに2018年の死亡者数は2010年、2013年のように1000人を超えるのではないでしょうか。
※2018年の確定数は2019年に出ます
熱中症による死亡数の年次推移 2017年 2016年 2015年 2014年 2013年 635 621 968 529 1077 2012年 2011年 2010年 2005年 2000年 727 948 1731 328 207
引用元:熱中症による死亡者数(人口動態統計) - 厚生労働省
その他参考:平成30年度熱中症入院患者等発生情報 - 厚生労働省
熱中症はなぜ起きるのか
体温一定の調整機能(体温の恒常性)
注目すべきは熱の収支です。
つまり「産熱」と「放熱」です。
人間の体温は37℃前後という一定体温になるよう調整が行われています。
産熱とは?
動物は体内で熱を生み出しています。これを産熱といいます。
体温が下がると熱の量を増やして体温調節を行います。
運動をすると特に筋肉から熱が生まれます。
放熱とは?
逆に体温が上がった場合、外に逃がす熱の量を増やします。
これを放熱といいます。
熱中症のメカニズム
熱中症とはこの調整機能の異常状態です。
異常状態を引き起こす要因はおおまかに次の通りです。
- 筋肉でたくさんの熱が作られ、放熱が間に合わない。(内部要因)
- 環境による影響で体温が上がりすぎ、放熱が間に合わない(外的要因)
熱中症の種類
熱中症が体温調整機能の異常状態であることは分かりました。
では、どのような異常状態を引き起こすのか見ていきましょう。
酸素欠乏症(熱失神)
酸欠状態になります。
- 体温が上がると血液量が増えます
- 体内で発生した熱を血液に移します
- 皮膚直下の血管を拡張して皮膚近くの毛細血管にまで熱を移し外に放出します
- 血液が全身に血液がめぐることで血液が不足、血圧が低下し、脳血流が減少し酸欠状態になります
特に立位の場合、下肢に血流が貯留します(=血が戻らない)
例:めまい、立ちくらみ、失神
脱水症状
次の2つに大別されます。
また次の両方が起こることを等張性脱水といいます。
・高張性脱水
体内の水分だけが不足する状態です。
症状:意識障害
・低張性脱水
汗と一緒にミネラルが失われた事により体内調整ができなくなった状態です。
汗は血液(血漿)から作られ、ミネラルが溶け込んでいます。
水だけを飲んでいても、発汗で失ったミネラルを補充できないので不足します。
また導管を通って発汗する間に、ナトリウムと塩素は導管に吸収されますが、カリウム、マグネシウム、カルシウムは吸収されません。
このため、血漿中と汗の原液のミネラルのバランスがほぼ一定なのに対して、血漿中と発汗時のミネラルのバランスは差異があります。つまり発汗現象はミネラルが失われるだけでなく、バランスが崩れていく現象でもあるわけです。
また、大量に汗をかくと塩化ナトリウムの割合が0.65%から0.9%に増加します。
つまり、血漿の浸透圧と同じになるので再吸収が追いつかなくなります。
症状:だるさ、吐き気、けいれん
ミネラル | 役割 |
---|---|
ナトリウム | 水分量・浸透圧調整、筋収縮、神経伝達 |
カリウム | 筋収縮、神経伝達、心臓収縮、体内の水分保持 |
カルシウム | 筋収縮、神経伝達、血液凝固 |
マグネシウム | 筋収縮 |
塩素 | 胃酸分泌 |
この中でもっとも失われるのはナトリウムです。
人間はナトリウムを加減して身体の水分量を調整しています。脳が直接水分量を調整していないのです。
大量に汗をかいたとき塩分の摂取が重要視されるのはこのことが理由です。
そして、カリウム、マグネシウム、カルシウムが欠乏すると、筋収縮に影響がでます。つまり攣りやすくなります。
また、あるミネラル、ビタミンの過不足は別のミネラル、ミネラル代謝に影響を与える相関関係にあります(下の相関図参照
例えばマグネシウムの過不足はナトリウム、カリウムに影響を与えます。
つまり、特定のミネラル、ビタミンを補うだけでなく、バランスを保つことこそが大事です。
引用:Watts, D.L. “Nutrient Interrelationships Minerals — Vitamins — Endocrines” Jortho Mol Med, 1990;5(1):11-19.
とはいえ、あまりに複雑な相関関係なので狙ってベストバランスに保てるとは思えません。
というか何がベストバランスなのか私にはわかりません。
なので、私はまんべんなく摂取しておけばいい程度で留めています。
熱射病
体温調整が追いつかなくなった状態です。
具体的には脳の体温調整中枢機能が麻痺します。
- 睡眠が十分なのにあくびがでる
- 汗がでなくなる
- 体温が40℃を超え体温計で測れなくなることがある
- 呼吸数が上昇、脈拍が速くなり、血圧の上昇や低下
- 本人は著しい体温の上昇を感じられなかったりする
症状:めまい、立ちくらみ、吐き気、けいれん、運動障害、頭痛、かすみ目、筋肉痛
以上が熱中症の基本です。
どう立ち向かうか
十分な練習
過去の栄光にすがらないように配慮します。
こと猛暑日においては初心に戻ります。
完走に支障がないよう練習を行い、頑張らなくていいように本番に向けて身体機能を高めます。
十分な睡眠
8時間を目標にしっかり寝ます。
睡眠不足では体温や脈拍の調整機能が低下します。また、筋肉も痙攣しやすくなります。
睡眠不足であればDNSします。
心拍管理
心拍数を計測するデバイスで超えてはいけない心拍数のラインを管理します。(その日の体調で大体目安がつきます)
サイコンに表示される速度、ワット数あるいは体感出力でのコントロールは行いません。
一度超えてはいけないラインを超えてしまうと、1時間休憩しても呼吸数、脈拍、体温が変わらないという異常状態に見舞われます。これは休憩が増え時間ロスにもなります。
運動強度を落とす
特に日照りが強い場所、湿度が高い場所、斜度のある場所では、心拍数があがりすぎないように気をつけます。
人の後ろにつかない方がいいこともある
人の後ろにつくことで風の影響を減らすことができますが、猛暑日においては風を受けることで放熱させたほうがいいこともあります。
また、練度が高い人の後ろにつくことで運動強度があがり、産熱が上昇、放熱が間に合わなくなることもあります。
維持すべきは速度やワット数ではなく、自分自身の体調や脈拍です。
仲間内で走ってる場合、この事を理解し、先に行ってもらったり、後ろについてもらう事を検討します。
親切心で前を引いてもらう、頑張ってついていくと一気に熱射病に進展する可能性があがります。
日焼け止め
シーズンを通して日焼けに配慮します。
一度ひどく日焼けすると熱を持ちますし、体力を奪われるからです。
日焼け止めに関してはワコーズのアグレッシブデザインがおすすめです。
よく定着しますし、涼やかさを体感できます。
少し高いですが決戦用アイテムとして運用するとむしろ余るので、惜しみなく使っていって問題ない気がします。
特に顔に塗ったときの効果を実感しています。(疲れが減ります)
また日焼け止めは正しく塗らないと効用が落ちるので気をつけます。
ワコーズの人に教えてもらった方法
- 運動30分以上前に塗る(汗で流れ落ちないよう定着させるため)
- 35回程度振る(成分が2層に分かれているため)
- 温める(伸びが良くなる)
- 顔なら1円玉硬貨大くらい。首なら10円玉大くらいを手のひらに出す(ケチらない!でも出しすぎない!)
- 格子状に塗る(縦に塗ったら横にも塗る)
- 手のひらで肌に数秒押し込む(抑える)
- 流れ落ちたら塗り直す
洗い流す時にクレンジングがない場合、シャンプーで代用することができます。
衣服
太陽から守るために、肌をさらさないようにします(アームカバー、レッグカバー、ネックカバー)
UVカット、吸汗速乾機能のあるものがおすすめです。
UVカットは日焼けから守るために。
吸汗速乾機能では湿度から守るために。
またキャップに関しては特に装備し続けていればいいという訳ではありません。
特に熱気や湿度がこもりやすいので、水をかけたり、脱いだりと管理する必要があります。
100均スプレー
水を入れて定期的に身体に散布します。
気化熱で放熱を助けてくれます。
軽く、携帯性があり、水をボトルからかけるよりも長持ちするのでおすすめです。
飲水
こまめに水分をとります。よく言われますが喉が乾いたと思ったときには遅いので意識的に飲水します。
ただの水ではミネラル不足になるので粉末パウダーを4〜10本程度携帯しています。
また、個人的なプラシーボですが、ビタミンB1等が欠乏すると倦怠感などパフォーマンスに影響があると思っているので、サプリを携帯しています。
興奮作用のあるものを控える
これはエビデンスがしっかりしない個人的なプラシーボです。
刺激物は発熱や血圧に関与する可能性があるので控えます。
またカフェインの利尿作用によって高張性脱水の影響は考えられにくいそうですが、利尿作用により低張性脱水は起きるのではと思っているので進んで摂取しません。(水分を摂取しないよりかはマシ程度に捉えています)
第二の心臓を鍛えておく
これもエビデンスがないプラシーボです。
体温が上がると全身に血液がめぐります。
この血液を戻してあげるためにも、ふくらはぎを鍛えておくことは血液を戻すことに有用ではないかと思っています。
最終奥義、諦める
どうにもならんときは、どうにもならん
帰ろう、帰れば、また来られるからな
輪行袋はお守りです(慢心ダメ絶対、ヤメヨウ轟沈)
おわりに
明日12/5(水)はみどりのきつね@oage_on_foxさんさんによる ゆるキャン聖地巡礼→本州横断失敗に学ぶ、サイクリングルート作りのポイントです。
そして12月のカレンダーがまだまだ余っていますので、興味を持たれた方は2018年を振り返って何か書いてみませんか!
ロードバイク Advent Calendar 2018 - Adventar
PS. 12/15発売のAlterLockを購入予定なので、タイミングが合えばAdvent Calendarでレビュー記事書きたいと思います!
→書きましたAlterLockレビュー